2019.12.06
<癒し> いい愚痴

「もっと割り切れたいい愚痴を吐く人間になりたい」 越路吹雪『夢の中に君がいる』

 「いい愚痴」という言葉がとても新鮮ですね。
 人の愚痴を聞くのは、あまり気持ちのいいものではないはずですが、考えてみれば、詩や和歌などの中には、愚痴っぽいものもたくさんあります。不思議なことに、それらを聞くと、元気が湧いてくることさえあるのです。
 愚痴に限らず、自分の不快な気持ちを、相手に、不快感を与えずに伝えることほど、難しいことはないと思います。
 他の国では、ユーモアや笑いを上手に利用しているように思えるのですが、日本人は、どうも苦手なようです。心の中におさえ込んでしまうか、感情的になってしまうか…。どちらも解決にはなりませんし、かえって悪い状態になりかねません。
 「もっと割り切れた」という言葉には、自分を客観的に見つめる、もうひとりの自分になるということが含まれているのでしょう。
 越路吹雪は、”心にウタをもった人間は仕合せだ”とも言っています。
 ウタの中には、さまざまな世界があります。夢や希望だけでなく、不平不満や恨みつらみだって、私たちは、生きる力に変えていくことができるのですね。
 彼女の歌を聴いていると、かっこいい愚痴や、気持ちいい愚痴、あたたかい愚痴というのもあるのかなと思えてきます。

引用図書;山下景子:しあわせの言の葉:宝島社,2007.

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