2019.12.16
<歳時記> 勿忘菫(わすれなすみれ)

 淡い思い出
 十二月の誕生色は、小雪が舞う季節の藍白色(あいはくしょく)ということになっています。
 董は早春に咲く花ですが、返り咲きすることが多く、十二月に花を咲かせることもめずらしくないそうです。
 かわいらしくうつむいた花が、この季節に、遠慮がちに返り咲く姿はいじらしいですね。
 「すみれ」の語源は、二説あって、まず、「墨入れ」が変化したという説。花が昔の墨入れに似ているからだそうです。
 もうひとつは、「摘み入れ草」からきたという説。摘む花といえば、董が代表的な花たったそうです。それだけ親しまれてきた花なのですね。
 返り咲きの菫が小雪の中で揺れる風景。「忘れないで」とささやきかける、今年一年の淡い思い出のようです。

引用図書;山下景子:美人の日本語:幻冬舎,2005.

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