2019.12.20
<心理学> 感情は消えるもの

 「同じような感情がずっと終わることなく自由になれず、苦しみが続いている。その結果、止めたいのに止められない行動があるので何とかしたい」と相談を受けることがあります。このように、感情をなんとかしようとして、その感情について考え続けることで、逆に感情にとらわれてしまうケースがあります。
 感情は火のようなものだとイメージしてみてください。感情について考え悩むことは、燃えている火を消そうとしながら、薪をくべて燃やし続けているようなものなのです。
 では、感情の火はいつまで燃え続けるのでしょうか? いつかは消える、つまり、感情の終わりが訪れるのでしょうか。
 これは、「嬉しい気分」を例に考えてみるとわかりやすいでしょう。例えば、仕事で大きな成果を出してほめられたとします。あるいは、受験で志望校に合格した…。「この気分がずっと続いてほしいなあ」と楽しい気持ちで過ごした経験がみなさんにもあるでしょう。
 さて、そのうきうきした感情がどれぐらい続くのか、ということです。残念ながら、この気持ちがずっと続くことはなく、他のことをした時にふと終わり、気がつくと別の感情に変化していたり、時間と共にその気持ちは薄まっていたりしたのではないですか。「嬉しい気分」と同様に、他の感情、さらには嫌だと感じる感情も同様に変化して、終わっていくものなのです。
 つまり、感情はその感情が運んできたメッセージが受け止められたら、速やかに消えていくのです。感情の火に薪をくべない限り、単発の感情は、20秒から1分程度で終わるとされています。
 先ほど、感情はアラームのようなものだと言いました。つまり、アラームのメッセージを受け取って適切に対応することで、確実に終わるのです。
 これを知らずに、特定の、ある感情を感じるのはいけないことだ、などと決めつけて、その感情を受け止める力を磨いていなかったり、感情の後の適切な行動の体験がなかったりすると、その感情に対して過敏になりますし、火に油を注ぎ続け感情を消さないように頑張っている、ということにもなりかねません。
 結果として、その感情が本来持っているアラームを故障させて、鳴りっぱなし、もしくは、いざという時に鳴らない事態を招いてしまうのです。

引用図書;玉井仁/星井博文/深森あき:マンガでやさしくわかる認知行動療法:日本能率協会マネジメントセンター,2016.

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