2020.03.30
<心理学> 自己嫌悪

 嫌になっている相手が自分自身なのだから、そこから逃げ出すわけには行かない。
 真夏の暑苦しいときに暗雲がたれこめて、むしむしとしてくるのに、雷も鳴らず雨も降らないときの感じとよく似ている。
 自己嫌悪はまったく嫌なものだが、これがすぐれて人間的なものである。
 自我というものが出来上がらないと、自分自身を対象化することができないからである。
 他人を攻撃して自らを省みない人は、自己嫌悪に陥ることがない。これに比して、少なくとも自己嫌悪する人は、自分の欠点に気づいていることを示している。しかし、それは真の自己認識や自己洞察とは異なっている。
 やたらに自分を嫌な奴だと感じるのではなく、自分の甘さの程度や、同僚たちの生き方などがはっきりと認識されたときは、建設的な判断につながってゆく。
 自己嫌悪は、自己洞察の前段階のところで、いろいろな感情がもつれて整理のつかないまま、ともかく自分に対する嫌悪感のみが認識される状態。
 信頼できる他人に話しをすることによって、自分を上手に客観視することに成功する。

引用図書;河合隼雄:働きざかりの心理学:新潮文庫,1995.

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