2020.09.05
<カウンセリング> 大切な家族がうつ病になったら ②腫れ物に触るように扱わない

 自分の言動が患者さんを追い込んでいたのだということに気づいてしまったら、身動きがとれない感じがする、とおっしゃるご家族もいます。また、患者さんが「○○という言い方をされると、自分が否定されているような気がして落ち込む」などと言おうものなら、「もう何も言えない」と固まってしまうご家族もいます。もちろん、これらの対応のすべてが病気にはマイナスです。なぜかと言うと、ご家族の不自然な緊張や無力感は患者さんの罪悪感を刺激するからです。自分が家族に迷惑をかけている、という気持ちが増すのです。中には、「自分は人間扱いされていない。やっぱり自分はできそこないなのだ」というふうに、自己評価をさらに下げる人もいます。また、「このまま家族に見放されるのではないか」という強い不安を感じる人もいます。
 こういう場面でどう言ったらいいかわからない、本当はこう言いたいけれど、それは励ますことになってしまうのだろうか、とわからなくなってしまったときに、正解を知っているのは患者さんです。「こういうときにはどう言ってあげたら一番楽かしら?」「こんなふうに言われると辛い?」というふうに率直に聞いてみてください。患者さんは罪悪感が強いですから、ペラペラと教えてくれることはないでしょう。でも、そうやって「本人に聞いてみる」という姿勢そのものが、共感的なコミュニケーションになっているのです。「こういうときにはどう言ってあげたら一番楽かしら?」と聞いて、「わからない」という答えが返ってきたとしても、そのやりとりだけで、「ああ、家族は自分を楽にしようとしてくれているんだな」と、愛情が伝わります。距離を置いたところでピリピリ緊張して見ているよりも、ずっと治療的です。
 また、「わからない」という答えも、うつ病の症状(決断困難、罪悪感)によるものであると考えれますから、無理やり答えを聞き出そうとしないで、「そうね、今急に聞かれたってわからないわね。じゃあ、わかるときには教えてね」と安心させてあげるとよいでしょう。

引用図書;水島広子対人関係療法でなおすうつ病創元社2009.

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