2020.12.28
<癒し> 感情と上手につき合おう

 「ムカつく」「キレる」というふうに、自分の感情をコントロールできない人が多い。「ムカつく」という言葉が流行りだしたのは、1980年頃からのことである。それ以降、若い人のネガティブな感情表現は、すべて「ムカつく」の一語になってしまった。
 これは言語表現の貧困化を示している。一口に怒りと言っても、「怒る」「憤る」「頭にくる」「腹が立つ」など、実に多彩であり、それらは微妙に違っているのである。自分がどういう気持ちでいるのかを自分で把握することは、感情とつき合う基本であり、それができないでいると、すぐ「キレる」人になってしまうというわけだ。
 幼い子が泣きわめくのは、つまりキレているのは、言葉を操れないからである。しかし、そんな子どもでも、「バカ」という言葉を覚え、それを使うことによって、相手をぶったりしないで済むようになるわけである。
 自分の感情、とりわけネガティブな感情をどのように扱うかは、メンタルヘルス上、とても重要なことなのである。
 そこで、「感情日記」というものをつける方法もある。怒ってばかりの人なら、いつ怒ったのか、どんな状況で怒ったのか、その怒りはどのように収まったのかなどを毎日、日記につけるのである。すると、自分のパターンが見えてくる。
 感情日記をつけていたあるクライエントはこう言った。
 「私が怒るときっていうのは、人から拒否されたと感じたときだと思います。私は、人が自分から離れていくのが淋しいんです」
 「なるほど、あなたの怒りの底にはそういう淋しさがあるんだね」
 「ええ、でも、最近少しは人とうまくつき合えるようになりました。ときどきムカっときたりもするんですけど、ああ、私はこの人から見放されるのが怖いんだ、ほんとは仲よくなりたいんだと考えるようになったんです」
 感情は複雑である。私たちの心の中では、いろいろな思いが錯綜している。その複雑さとうまくつき合っていくことは、また楽しいことでもあるのだ。

引用図書;菅野泰蔵:こころがホッとする考え方:すばる舎,2000.

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