2021.01.11
<癒し> 欠点だってあなたの個性

 人は誰でも自覚している欠点がある。そしてその欠点に悩んでいることが多い。悩むとまではいかなくても、「これさえなければ」と歯ぎしりする思いは誰にもあるだろう。
 しかし、カウンセラーは欠点を欠点とも思わない人間である。ほとんどの場合、その欠点も「その人らしい」ところと感じているし、むしろよいところではないかとさえ思えてくるのである。イジイジしている人を見れば、そのイジイジしているところが(も)いいなあと感じ、「それを直したいんです」などと言われると「それはもったいない」と思ってしまったりする。
 長所であれ欠点てあれ、その出所は同じである。どちらも自分のあらわれなのだ。一方を好み一方を憎むのは何か変であろう。それはそれで自分らしさをよく表しているのである。
 『ねじ式』『紅い花』などの傑作で名高い漫画家つげ義春氏は、慢性的なうつ症状に苦しんでいる人でもある。ところが、多くの芸術がそうであるように、つげ作品も躁うつという病気から産み出されていることは否定できない。あの夏目漱石も躁うつ病であったと言われている。そういう人は一般的な感性とはまた違った視点や世界観を持ち、それが作品を産み出すもとにもなっているのである。
 そして、つけ義春著『つげ義春日記』(講談社)を読むと、うつの人のメンタリティがたいへんにわかりやすく表現されていて興味深い。また専門家が読めば、医師が出している薬の種類までわかる。
 『つげ義春日記』は、つげ氏の、やるせなく、意欲のない気分で全編が満たされている読み物である。その中に、彼が友人と会話をしているシーンがある。つけ氏はいつものように愚痴愚痴とした話を延々と続け、友人はそれをずっと黙って聴いている。そして、こう言うのである。
 「そうやって愚痴を言ってるときの君がいちばん君らしいね」
 それを聞いて、つげ義春はニヤッと笑う。こういう友だちはありがたい。私たちは皆、欠点も含めて自分を丸ごと了解してほしいのである。

引用図書;菅野泰蔵:こころがホッとする考え方:すばる舎,2000.

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